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赤ちゃんのアトピー治療に使う 抗アレルギー薬 とは?効果と注意点は?

公開日
更新日

 
執筆:佐藤 孝弘 (医薬品開発、薬剤師)
 
 
Ⅰ型アレルギーの反応は、身体によっては異物となる特定のアレルゲンに対する免疫の反応ですが、アレルゲンが繰り返し身体に侵入すると、マスト細胞(肥満細胞)がヒスタミンやロイコトリエン、プロスタグランジンなどの化学伝達物質を遊離させ、アレルゲン(異物)から身体を守ろうとします。この遊離した化学伝達物質がかゆみなどの症状を生じさせるのです。ここでは、赤ちゃんのアトピー治療に使う薬の一つである 抗アレルギー薬 について説明します。
 
 

抗アレルギー薬~そもそもどういうもの?

抗ヒスタミン剤は、遊離したヒスタミンよりも先に受容体を結合し、ヒスタミンが受容体とくっついてアレルギー反応を起こすのを防ぎます。この薬は症状が出たときに飲みます。
抗ヒスタミン作用をもたない抗アルレギー剤は、マスト細胞の細胞膜を強化することで、かゆみの原因となるヒスタミンなどの化学伝達物質の遊離を抑えます。この薬は、症状が出る前から一定期間飲み続ける薬です。
 
 

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抗アレルギー薬~アトピー治療に効果がある理由

アトピー性皮膚炎は慢性疾患であり、よくなったり悪くなったりを繰り返す疾患であると定義されています。患者さんも、どうせ治らないからとか、一時的に今だけ良くしても仕方ないなどとあきらめてしまっている人もいます。
しかし、近年、5段階の強弱のステロイド軟膏、プロトピック軟膏、保湿剤、抗ヒスタミン薬などを組み合わせて、さらにプロアクティブ療法を徹底させることができればまったく症状が出ない状態を維持して、完全にコントロールすることができるようになってきています。
できる限り早く、新生児期や乳児期早期から、スキンケアや治療を開始して継続することが大切であり、それによって、アトピー性皮膚炎の発症を防ぐ可能性があること、食物アレルギーもある程度予防できる可能性があることなどのポジティブ面を患者さんに理解してもらい、治療意欲を高めることが大切だと思います。
 
 

抗アレルギー薬~治療の基本原則

アトピー性皮膚炎治療の基本原則は、1.悪化因子の検索とその対策、2.スキンケア、3.薬物療法の3本柱です。かゆみを抑えるためには、適切な薬物療法が必要になります。薬物療法はスキンケアと違って、重症度、年齢、部位に応じたきめ細かい選択がなされるオーダーメイド治療が必要となります。
アトピー性皮膚炎で使う薬には、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、外用薬などがあります。
 
 

抗アレルギー薬~アレルギー剤が効くしくみ

抗アレルギー剤は、アレルギー物質が体内に吸収されて、血の中でマスト細胞のアンテナに抗原としてくっつくのを抑えるのではなく、アンテナにくっつかせるけれども、くっついた後、脱顆粒でヒスタミンがバッと出てくるのを抑えるのです。ほとんどの抗アレルギー剤の作用の仕方はこれです。ですからアレルギーの原因(アレルゲン)が体内に入っても、ヒスタミンは出てきません。ヒスタミンが出てこないから当然症状も出てこないのです。
 
 

抗アレルギー薬~使用における注意点

小児はかゆみを自分で我慢するということはまずないので、いかにかかせないようにするかが治療のポイントです。特に、夜中の激しいかゆみは睡眠を妨げ、成長や発達障害をきたすことにもなりかねません。かゆみを抑えるには外用薬が主体ですが、補助手段として内服薬も一助となります。
 
 

抗アレルギー薬~かゆみがなくても投与する?

近年、基礎薬理学の分野では抗ヒスタミン薬はヒスタミン受容体の拮抗薬というよりは逆作動薬(受容体に結合して作動薬とは反対の作用を及ぼす薬)であるという考え方にシフトしつつあります。 ヒスタミン1 (H1) 受容体はヒスタミンが結合しない状態でもシグナルを出し続けている持続的な自然活性がみられ、ヒスタミンが結合することでシグナルがさらに増強されます。抗ヒスタミン薬が結合すると、ヒスタミンによるシグナル増強が抑制されるだけでなく、持続的自然活性をも抑制し、逆作動薬として働くことがわかってきました。この考え方からすると、抗ヒスタミン薬はかゆみがなくても投与し続けた方が良いということになります。
 
 

抗アレルギー薬~非鎮静性の薬剤が第一選択

従来、眠気の強い抗ヒスタミン薬の方がかゆみ防止効果は高いという思い込みがあったように思われますが、この考え方には根拠がないことが明らかになりました。小児のアトピー性皮膚炎に対する大規模臨床試験において、非鎮静性の高ヒスタミン薬は鎮静性の強い抗ヒスタミン薬と同等以上のかゆみ防止効果を有することが明らかになりました。
また、鎮静性抗ヒスタミン薬では眠気を自覚しなくてもさまざまな能力障害が起こることが明らかになってきました。小児においても運動能力の低下による転倒や事故、学童期の勉学能率の低下、さらに乳幼児におけるけいれんの誘発など、多くの問題が指摘されています。したがって、今後はアトピー性皮膚炎に対する抗ヒスタミン薬の処方に当たっては、非鎮静性の薬剤が第一選択とされるべきと考えられています。
 
 

抗アレルギー薬~まとめ

抗アレルギー剤にはいくつか種類があり、基本的に脱顆粒を抑えます。最近の研究により、かゆみがなくても投与し続けた方がよい場合や、非鎮静性の薬剤を第一選択とするべきことなどがわかってきました。重症度、年齢、部位に応じた細かな選択が可能なオーダーメイド治療が重要です。
 

<執筆者プロフィール>
佐藤 孝弘(さとう たかひろ)
ヘルスケア関連企業にて、10年以上、研究開発業務に従事しています。
医学・薬学・健康・美容に関するライティングを中心に活動。TOEIC 910点
 
 

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